なぜ多くの人がプログラミングで挫折するのか
プログラミングを学び始めた人の多くが、数週間から数か月のうちに手を止めてしまいます。私も最初はその一人でした。HTMLやCSSは楽しく進められたものの、JavaScriptに入った途端にコードが動かず、何度も心が折れかけました。
では、なぜ挫折が起こるのでしょうか?大きく分けると、以下の3つの要因が多いです。
- 成果がすぐに見えない
最初は「動くWebページが作れる!」という達成感がありますが、だんだんと概念的な部分(変数、関数、クラスなど)に時間を取られ、目に見える成果が減ります。このギャップがモチベーション低下を招きます。 - エラーやバグが解決できない
「SyntaxError」や「undefined」というエラーが出るたびに、原因が分からずブラウザを閉じたくなります。私も最初の頃、原因が「単なるスペルミス」だと気づくまでに3時間かかったことがありました。 - 学習目的があいまい
「なんとなく将来に役立ちそう」という動機は、最初の熱量が冷めた瞬間に続かなくなります。明確なゴールがないと、勉強はただの苦行になります。
私が最初に挫折しかけた体験談
社会人1年目の頃、仕事が終わったあとに毎日1時間プログラミングを学んでいました。しかし、2か月目あたりで「何のためにやっているんだろう…」と感じるようになったんです。教材のゴールが「計算アプリを作る」だったのですが、正直、自分はそれを作っても使う予定がありませんでした。
そこで一度学習をやめた結果、1か月後にはほぼ知識を忘れてしまいました。再開した時に「ゼロからやり直し」になり、挫折の連鎖にハマってしまったのです。
ここで大切なのは
- ゴールを「自分が作りたいもの」に設定する
- 小さくても成果が見える学習方法を選ぶ
この2つです。
挫折を防ぐゴール設定と学習計画の作り方
プログラミングを続けられる人と途中でやめてしまう人の大きな違いは、学習のゴールが「他人基準」か「自分基準」かにあります。
私が最初に失敗した時は「この教材が終わったらOK」というゴール設定でした。でもこれは「教材が終わる=目的達成」になってしまい、その後どうするかが見えません。逆に、2回目の挑戦では「自分が作りたいアプリ」を明確にしてから学習を始めました。すると、途中でエラーが出ても「この機能を完成させたい」という気持ちが勝ち、自然と解決方法を探すようになったのです。
1. ゴールは「作りたいもの」から逆算する
例えば、あなたが「家計簿アプリ」を作りたい場合、必要な知識は以下のように洗い出せます。
- HTML / CSS(画面のレイアウトやデザイン)
- JavaScript(収支データの計算、保存)
- ローカルストレージの使い方(ブラウザにデータを保存)
こうしてリスト化すれば、「何から学べばいいか」が明確になります。教材を選ぶときも、必要な部分だけを集中して学べます。
2. 小さなマイルストーンを設定する
いきなり「フル機能のアプリを完成させる」という大きな目標は、途中で心が折れる原因になります。そこで、小さな達成感を得られる「中間ゴール」を用意します。
私が家計簿アプリを作った時の例:
- HTMLで入力フォームだけ作る
- 入力した数字をJavaScriptで計算できるようにする
- データをブラウザに保存する機能を追加
- デザインを整える
このように段階を踏むことで、「今日はフォームだけ作ろう」「今週は保存機能まで」という形で進められます。達成感が積み重なれば、自然と次に進みたくなります。
3. 学習時間は「毎日少しずつ」
1日5時間やるより、毎日30分〜1時間を継続したほうが知識は定着します。私も最初は休日にまとめて学び、平日はゼロ…というやり方で失敗しました。毎日少しでも触れることで、頭の中に「前回の続き」の状態が残り、復習の負担が大きく減ります。
エラーを味方にする思考法と調べ方のコツ
私が初めてプログラミングを学んだとき、一番怖かったのは**「赤い文字のエラーメッセージ」**でした。画面いっぱいにエラーが出ると、「もうダメだ…」とPCを閉じたくなる。これが挫折の大きな原因でした。
でも、ある時期からエラーが怖くなくなりました。それどころか、エラーを見ると**「お、成長のチャンスが来たな」**とワクワクするようになったのです。
1. エラーは「先生」だと思う
ある日、作っていたアプリが真っ白な画面になりました。何も表示されず、パニックです。
しかし、よく見るとコンソールにこう書かれていました。
Uncaught SyntaxError: Unexpected token ';'
最初は意味が分からなかったけれど、翻訳サイトで調べると「予期しない記号 ‘;’ がある」ということ。つまり、自分がコードのどこかに余計なセミコロンを入れてしまっただけでした。修正してみると、あっさり解決。
この時に気づきました。エラーは自分を責めるためではなく、解決のヒントを教えてくれるために出ているということに。
2. 効率的な調べ方
昔の私は「エラーを全部コピペして検索」していましたが、これだと不要な情報も多く混じります。そこで変えたのが、キーワードだけを抜き出して検索する方法です。
例えば先ほどのエラーなら、
javascript Unexpected token
と検索すれば、海外フォーラムやStack Overflowで同じ事例が見つかります。さらに、検索結果を見て「最新の日付」の記事から読むようにしました。古い記事は情報が古く、解決に時間がかかることも多いからです。
3. エラー日記をつける
私はエラーに出会うたびに、原因と解決方法をメモするようにしました。
例えばこんな感じです。
- 日付:2024/3/10
- 現象:ボタンが反応しない
- 原因:onclickをonClickと書いてしまった(Reactはキャメルケース)
- 解決方法:正しいスペルに修正
この「エラー日記」を見返すと、同じミスを繰り返さなくなるし、数ヶ月後には自分専用のトラブルシューティング辞書になっていました。
仲間と環境を味方にして、学習スピードを3倍にする方法
プログラミング学習を始めたばかりの頃、私は完全に独学で進めていました。
夜な夜なYouTubeでチュートリアルを見て、ひたすら写経。
でもある時、壁にぶつかります。
「何が分からないのか、分からない」状態になったのです。
そんな時に出会ったのがコミュニティでした。
1. 質問できる環境の力
私はSNSで「#駆け出しエンジニアと繋がりたい」というタグを見つけ、思い切って参加してみました。
最初は「自分なんて初心者すぎて恥ずかしい」と思っていたのですが、勇気を出して
「このコードが動かないのですが…」
と投稿してみたら、数分で3人も回答してくれたのです。
ここで気づいたのは、人は他人のエラーや疑問を解決することで、自分の知識も整理できるということ。だから質問しても迷惑ではないし、むしろ感謝される場合が多いのです。
2. 無料で使える質問場所
今なら、以下のような無料コミュニティを使うのがおすすめです。
- teratail(日本語で質問できるQ&Aサイト)
- Qiita(質問ではなく記事投稿メインだが、コメント欄でアドバイスをもらえる)
- DiscordやSlackのプログラミングコミュニティ(リアルタイムでやり取り可能)
ポイントは、質問する時に「何を試したか」「エラー全文」「環境情報」をセットで伝えること。
これだけで回答率とスピードが劇的に上がります。
3. 学習仲間を作るメリット
私はある時期、週1回のオンラインもくもく会(作業会)に参加していました。
Zoomを繋いで、各自黙々と作業するだけなのに、なぜか集中力が続く。
終わった後に「今日はここまでできた!」と報告し合うのがモチベーションになり、
独学時代より学習時間が1.5倍以上増えたのです。
4. 環境に投資する勇気
もし可能なら、有料スクールや教材に少しだけ投資するのも手です。
「お金を払った」という事実が、自分へのプレッシャーになり、
自然と継続できるようになります。
学びを仕事につなげる、最初の一歩の踏み出し方
プログラミング学習を続けてきた皆さんにとって、一番のゴールは「スキルを実際に使う」ことではないでしょうか。
私自身、最初は趣味で始めたのですが、ある時から「せっかく学んだんだから、何か形にしたい」と思うようになりました。
1. 小さな実績から始める
初めてお金をもらった仕事は、知人の飲食店のホームページ制作でした。
報酬は1万円。正直、時給換算したら数百円ですが、この経験が全てのきっかけになりました。
実績がゼロの状態から営業するのは難しいですが、知り合い相手ならハードルは低く、失敗しても許されやすいです。
2. ポートフォリオは「作りたいもの」ではなく「見せたいもの」
独学時代、私はポートフォリオに「自分が作っていて楽しいアプリ」ばかり並べていました。
でも採用担当者に言われたのは、
「実務で役立つイメージが湧く作品の方が評価される」
という一言。
例えば、APIを使ったデータ検索ツールや、ECサイトのカート機能など、ビジネス活用が想像できる作品を1つでも入れると印象が変わります。
3. 案件獲得の第一歩
私が試したのは以下の方法です。
- クラウドソーシング(CrowdWorks、Lancersなど)で低単価案件に応募
- SNSで「簡単なLP制作できます」と宣言
- オンラインコミュニティで「実績作りのため無料で作ります」と募集
特にSNSは、思わぬ人から声がかかることもあるので侮れません。
4. 「継続できる環境」を仕事に組み込む
案件を受けると、自然とスケジュール管理や期限意識が身につきます。
私は最初の案件で、納期前日にバグを見つけて大慌てした経験があり、そこからテストと進捗管理の習慣が身につきました。
学習だけだと身につきにくいスキルも、実務では強制的に鍛えられます。
まとめ
プログラミングは、始めるよりも「続けること」「使うこと」が難しいです。
でも、今回お話ししたように、
- 自分の性格に合った学び方
- 小さな成功体験の積み重ね
- 仲間と環境を味方にする
- 実務で使う経験を早めに得る
これらを意識すれば、挫折する確率はぐっと下がります。
そして何より大切なのは、楽しむこと。
コードが動いた瞬間の喜びや、新しい技術を知った時のワクワクを忘れなければ、きっと長く続けられるはずです。
コメント