React Nativeでアプリ開発を進めていくと、必ずぶつかるのが「状態管理どうする問題」。
✅ Reduxって聞いたことあるけど、ちょっと難しそう…
✅ Context APIでもいけるの?
✅ 他にもっとラクな方法ないの?
そんな悩みに答えるべく、本記事ではReact Nativeで使えるおすすめの状態管理ライブラリ3選と、プロジェクトに合った選び方のコツをわかりやすく解説していきます。
✅ 本記事でわかること
- 状態管理の基礎と重要性
- Redux以外の選択肢
- 実務での使い分けポイント
状態管理の基礎と「Redux」の再評価
1. React Nativeでなぜ「状態管理」が必要なのか?
React Nativeでは、以下のような状態が頻繁に登場します:
- ユーザーのログイン状態(グローバル)
- フォーム入力内容(ローカル)
- APIから取得したデータ(非同期+共有)
小規模ならuseStateだけでもOKですが、画面数や共有データが増えてくると管理が破綻します。
2. 代表格「Redux」──古いけど、やっぱり強い
✅ Reduxの特徴
特徴|内容
データフローが一方向で明快|状態の変更が予測しやすい
公式ドキュメントが充実|エコシステムも豊富
ミドルウェアで非同期処理もOK|redux-thunkやredux-sagaなど
✅ Redux Toolkitで激変した使い勝手
以前のReduxは「冗長すぎる」とよく言われましたが、
今はRedux Toolkitという公式ラッパーが登場しており、圧倒的に使いやすくなっています。
// 例:カウンターSlice
import { createSlice } from '@reduxjs/toolkit';
const counterSlice = createSlice({
name: 'counter',
initialState: 0,
reducers: {
increment: state => state + 1,
decrement: state => state - 1
}
});
export const { increment, decrement } = counterSlice.actions;
export default counterSlice.reducer;
✅ Reduxはこんな場面に向いている
- チーム開発で状態管理のルールを統一したい
- 状態が複雑・ネスト構造が多い
- 開発規模が中〜大規模
- 開発経験者が多いプロジェクト
✅ Reduxを選ぶ際の注意点
- 学習コストはやや高め(初心者には厳しい)
- 小規模アプリではオーバースペック
- ミドルウェアやDevToolsの導入もセットで考える必要あり
Zustand ― Reduxよりも軽くてシンプル!
React Nativeの状態管理で、「もっと気軽に書きたい!」「型がしっかりしてて読みやすい方がいい!」という方におすすめなのが Zustand(ズスタンド)。
1. Zustandってなに?
Zustandは、Reactの状態管理のための軽量ライブラリ。開発元はReact Queryなどでも有名な Poimandresチーム(旧React-Springチーム)。
✅ 特徴まとめ
特徴|内容
ボイラープレートがほぼゼロ|Reduxより断然シンプル
状態の定義と利用が同じ場所で完結|わかりやすくてミスも少ない
TypeScriptとの相性が抜群|型安全で開発効率も◎
React Nativeでも軽快に動作|モバイルにも最適
2. Zustandの使い方(シンプルすぎてビックリ)
// store/counter.ts
import { create } from 'zustand';
type CounterState = {
count: number;
increment: () => void;
};
export const useCounter = create<CounterState>((set) => ({
count: 0,
increment: () => set((state) => ({ count: state.count + 1 })),
}));
そして、コンポーネント側ではこう使います:
import { Text, Button } from 'react-native';
import { useCounter } from './store/counter';
export default function MyComponent() {
const { count, increment } = useCounter();
return (
<>
<Text>{count}</Text>
<Button title="+1" onPress={increment} />
</>
);
}
✅ ContextもProviderも不要!Hooksで直接アクセス!
3. Zustandが向いている場面
- 小規模〜中規模アプリ(スピード重視)
- 画面数が多くないアプリ
- 状態が少なく、シンプルな構成
- 学習コストを下げたい(初心者・個人開発)
4. ReduxとZustandの比較表
項目|Redux Toolkit|Zustand
学習コスト|中〜高|低
記述量|多め|少なめ
拡張性|高い|中程度
型安全性|高い|高い
DevTools連携|可能|可能(設定必要)
React Native対応|○|◎(軽量)
✅ 注意点(Zustandの落とし穴)
- グローバルすぎる状態を増やすと「密結合」に注意
- 状態の変更が多すぎるとパフォーマンスに影響
- ミドルウェアやログ機能は手動で導入が必要
Recoil ― 依存関係で差がつく“次世代型”状態管理ライブラリ
React Nativeでも注目されている状態管理ライブラリ「Recoil」。Reactチームが公式に開発しているライブラリで、特徴は“依存関係の自動管理”と“再レンダリングの最小化”です。
1. Recoilとは?
Recoilは、Facebook(現Meta)が開発した状態管理ライブラリで、グローバルな状態を持ちつつ、Reactの思想に沿った書き方ができるのが特徴です。
✅ 特徴まとめ
特徴|内容
atomとselectorで状態を定義|Reactのstateっぽく使える
再レンダリングが最小限に|パフォーマンス向上
依存関係が自動で追跡される|状態更新がスムーズ
Context APIよりも柔軟|複雑な依存関係も表現可能
React Nativeでも問題なく使える|ライトな実装感
2. Recoilの基本的な使い方
まず、RecoilRootでアプリを包みます。
import { RecoilRoot } from 'recoil';
export default function App() {
return (
<RecoilRoot>
<MyComponent />
</RecoilRoot>
);
}
次に、atom(状態)を定義:
// atoms/counter.ts
import { atom } from 'recoil';
export const counterState = atom({
key: 'counterState',
default: 0,
});
コンポーネント内で使う:
import { Text, Button } from 'react-native';
import { useRecoilState } from 'recoil';
import { counterState } from './atoms/counter';
export default function MyComponent() {
const [count, setCount] = useRecoilState(counterState);
return (
<>
<Text>{count}</Text>
<Button title="+1" onPress={() => setCount((c) => c + 1)} />
</>
);
}
3. selectorで状態の計算もラクラク
import { selector } from 'recoil';
import { counterState } from './atoms/counter';
export const doubleCount = selector({
key: 'doubleCount',
get: ({ get }) => get(counterState) * 2,
});
これで、状態に依存した計算ロジックも自動的に管理されます。
4. Recoilが向いている場面
- 状態が複雑に絡み合う中〜大規模アプリ
- 「再レンダリングの最適化」を重要視するアプリ
- 状態同士に依存関係がある構造
- React Native + 複雑ロジックのアプリ開発
5. Zustand vs Recoilの使い分け
比較軸|Zustand|Recoil
記述量|少なめ|中程度
再レンダリング最適化|△|◎
状態の依存関係管理|手動|自動
学習コスト|低|中
小規模開発向き|◎|○
大規模開発向き|△|◎
✅ 注意点(Recoilの落とし穴)
- 依存関係が増えると構造が複雑になる
- 複数のatom/selectorの設計がカギ
- TypeScript導入でより恩恵が得られるが、設計力が求められる
React Native状態管理の選び方 ― プロが使い分ける基準とは?
ここまで3つの状態管理ライブラリ(Redux、Zustand、Recoil)を紹介しました。では実際にReact Nativeのプロジェクトでは、どのライブラリをいつ使うべきか?
この回では、それぞれの選定基準と、実際のプロジェクトでの使い分け方を解説します。
1. 状態管理選びの3つの軸
まずは「どれを選ぶか」の前に、以下の3つの観点でプロジェクトを評価しましょう:
- スケール:アプリの規模は?今後の拡張予定は?
- チーム構成:1人開発?複数人?バックエンドとの連携は?
- 学習・保守コスト:後から別の人が引き継いでも問題ない?
2. どの状態管理がどのシーンに向いている?
状況|おすすめ
小規模アプリ・1人開発・最速プロトタイプ|✅ Zustand
中〜大規模開発・パフォーマンス重視|✅ Recoil
大規模開発・チーム開発・ルール厳守|✅ Redux Toolkit
3. 状態管理の選び方マトリクス
┌────────────┬────────────┐
│ 状態がシンプル │ 状態が複雑 │
├────────────┼────────────┤
│ UI中心 │ Zustand │
│ 依存関係あり │ Recoil │
│ グローバルに管理│ Redux Toolkit │
└────────────┴────────────┘
4. 併用という選択肢もアリ!
状態の性質によって、複数の状態管理を併用するという選択肢もあります。
例:
- グローバルな認証情報:Redux
- 一時的なフォーム状態:Zustand
- 複雑な状態依存関係:Recoil
このように、「全部を1つでやろうとしない」のが最近のトレンドです。
5. 実務での選定フロー(例)
1. 状態の量と複雑さを洗い出す
2. 画面単位のstateならZustandで軽く書く
3. 複数stateが相互依存ならRecoil
4. 多人数・中長期案件ならRedux Toolkitで統一
まとめ
🔑 状態管理ライブラリ選定まとめ
用途・規模|推奨ライブラリ
小〜中規模・最速開発|Zustand
複雑な依存・再利用性|Recoil
長期開発・複数人|Redux Toolkit
最後に:あなたにとっての“最適解”は?
React Native開発において、状態管理は機能性と開発効率のカギです。大切なのは「流行り」ではなく「プロジェクトに合っているか」。
✅ 自分の目的
✅ チームの体制
✅ 状態の性質
これらを踏まえて、しなやかに選び、必要なら乗り換える柔軟性を持ちましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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